1991/11/23

「埋性的情熱の彼方に」/韓学同京都府本部機関誌『ムグンファ』(1991.11.23 大学2回生)

「情熟」。この言葉はギリシャ語で臓肝の街動、あるいは内面の興奮を意味する。ギリシャ人は神経に感じられる勤揺、腸の膨張と収縮、心臓の急激な緊張、激しく感動したときの臓臓から脳髄への火のような精気の急速な流れを表現するために、この言葉を考え出したのであろうか。その情熟と理性とが結び付くことはなかなか困難である。理性は、常に事物をあるがままに見るところで成立する。酔眼朦朧として対象を見る人は、それなりに理性を失うものだ。情熱は酒に似ていると言われる。それは血管に多くの騒乱、神経に激しい振勤を引き起こし、そのために埋性はすっかり破壊される。しかし、情熱は脳髄を一層活発化するかのような軽い動揺だけ生み出すことがある。それは過去、雄弁という運動で現れ、埋性的情熟は偉大な詩人が崇高な詩作のうちに表すと言われた。

「理性的情熟」。世の出来事に触れる時、より具体的に言えば、歴史を勉強するとき、新聞を読むとき、他人と討論するときに理性的情熟は不可欠ではないか。事実・言葉をうわべだけの知議として身につけるのではなく、そこに生きる人間、人間の生き方に感勤し、自分自身の生き方を検討し、さらに人生観を深める。これが学ぷ姿勢であるし、そこから逆に学ぶことへの執着も生まれるはずだ。そして理性的情熱がそこに大きな役割を果すと強く感じるのだ。この理性的情熱を最大限発揮するためにも大事なこととは何か。それは、自分自身めおかれている環境についての冷静な把握であるし、誌虚で誠実な姿勢である。それを持ち続けることである。その人格のおかれている環境に対して、高慢になったその時点で、理性的情熱はそのものではなくなる。人格自らが周りの環境を都合良く限定し、そこにのみに目を向け、その中で埋性的情熟を言うとき、その時点で理性的情熱は妄言、虚言、言い訳に陥ってしまうのであるから。理性的情熱の名を騙り、そこに腰を落着け、間違った判断を我々はさせてはならぬのだから。
その埋性的情熟を持ち得る人格を、どのようにして持ち得るのか。人間の人格が孤立したものてなければ真空中に生み出されるものでもない。それは人間の誕生と共に持ち合わせるものでもない。社会的経験と活動の過程で生じるものだ。人格は他の人格との関わり、共存を通じての相互作用によって社会的に形成され、展開され、そして発展する。逆に人の集まりは、その人格が肥やされ、内容を持つために、人格と人格がぷつかる場でなければならない。そうあるぺきであり、より魅力的であると感じる在日韓国学生同盟京都府本部という学生組織において、それはより問われてくる。

今、私の環境はどうであるのか。口をそろえての転換期である現在、ノホホンとしていようと、いまいと新しい秩序の世の中が間もなく来る。祖国も内容はどうであれ、具体的に統一という形によって状況の変化が見られるであろう。もちろん内容こそ、我々が問い、考えなければならない事物であるのだが。そうしたとき、在日の状況も大きく変わる。日本が唱えていた国際化が日本さえもコントロール出来ない力でなされてきている。そこであらためて、日本人自身の自己同一性が問われ、同時に在日としての生き方が本当に問われることになる。民族というものは、もちろん自然的基盤を持っており、諸々の個人から成り立っているのてあるが、この自然的基盤は国民性の中で物質的なものから歴史的なものへど転化され、そのため単に自然なものとしてはもはや民族は存在し得ない。その民族という意味、中身自体が変化し、問われているのだ。私自身が子を持ち、孫を持つような年齢に達したとき、その社会の中で自分自身の生き方について、真正面から問うことができる為にも。人の人生の中で最も純粋に行動するべきであろ学生時代を精一杯に生きようと思うのである。これから在日の生き方を問い続け、私一人格自身の生き方、人生観・世界観を、より素敵なものへと昇華させるべく、埋性的情熟を持つ一人格として、その人格と人格が切磋琢磨しうる学同を通して、民族学生運動を担う意志であるのだ。

私がいつも言う言葉であるのだが最後に一言。生きることは行動することであり、ただ呼吸することではない。そして、生きることこそがもちろん人生最高の目標なのである。(二回生男子盟員)

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[追記]

← 8年前は、今よりも漢字が書けたようだ(^^;(1997.12レス)

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