1990/11/18

「異質な環境を内的発展の源に」/韓学同京都府本部機関誌『ムグンファ』(1990.11.18 大学1回生)

「世界第一に勤勉で尚武的である点で独逸人と酷似し、現実的で実利主義的である点で英国人と栢似し、感覚的で趣味性の深い点で仏南人と共鳴し、実際的でデモクラチックな点で米国人と類似し、多血質で理性に暗く熟狂し易い点で伊太利人やスペイン人と同胞であるもの」。即ち、世界のあらゆる民族と共通し、その形而下的属性を所有している日本人。世界的なものは日本になく日本に無いものは世界に無い。その日本というおよそ実体のない特殊な場所に、私は韓国人を父とし日本人を母として生まれた。思えばこれが第一の矢敗である。

そして客観的に見れば(ここでの客観とはすなわち隣近所でしかすぎないのだが)非常に変わった境遇の中、考えうる限り普通の生活を営み、そして囲りからはほんの少し変わった愉決な人間として扱われ成長してきた。どうやら私という個人は時代性、環境性、そして最も忌むべきは歴史性において、囲りの人問とはほんの少し連っている存在であるらしいのだ。相対的にである。次にこれは重要な事柄であるのだが、私の営んでいるこの国において私という個人(ややこしいので次から「私」と書く)は、生まれてから現在まで得たデータより、私の手出しできない生まれながらにして持つデータによって、囲りの人間より強く束縛を受けることになるのだ。あららら。何という事であろうか。他人より多くの、いや他人とは少し異なったすてきなデータを多く持ってごの世に出てきた私は、それによって圧迫されるよう義務づけられていたのである。いや、待ってくれ。義務?本当に義務なのか?いいえ違います。何と義務などではないのです。およそ実体のないまま末期症状を訴えているこの国が自己のアイデンティティ一を保持するために取った小賢しいしかし強悪な手段に起因しているものなのだった。世界的、宇宙的に見ればくず同然のアイデンティティーを保持するための手段である。そして、逆にそれによって自らが食い潰されているのだ。究極のナルシズムかもしれない。もちろん現状把握のできている人聞も内部に存るのであるが、問題点は数多い。もちろん問題点が多いからこそ、それを少しでも良い方向にもっていこうとせねばならないのである。がんばれ。がんばる。

そのような状態の私であるが、自身の以上のような特性に劣等感、不満等を抱えたことはない(はずである)。常に正方向にカが働いたわけである。これは、私の自身確立の環境がすこぶるすばらしかったのと私の性格によるものであろう。非常にすぱらしい友人、恩師を持つ私は素敵なやっかいな楽観主義者であったから。第二の矢敗である。

他人よりも少し多いめに問題を抱えている人間はそれによって他人よりも大きくなれるはずだ。人間に生まれた限りは人間についてより多くの事を知りたい。人間が経験しうるものすべて感じたい。そうでしょう。そうしているうち今までの私の人生のうち最も素敵な時代である大学生として数年を過ごずこととなった。私には‘われわれが意識的にそれを目的とすることのできない唯一のもの’と言われる「文化」を探求するという大きなテーマがあり、それが恐ろしい顔をした獣に見えた。私は模索した。どうやら意識はあるらしい。獣は私に何を要求するのか。果たして私にどういった作用を及ぼしうるのか。今までに感じたことのない激しい痛みとよくわからない快感。どうやらこの空腹な獣は私に血と肉を提供してくれるらしい。これは居心地よい。少し大きくなったようだ。おや目がよく見える。手を見る。獣の手だ。顔をうつして見る。獣の顔だ。どうやら私は一体化したらしい。少し困惑。何てこった。あと成長するのは私自身の努力次第どいうやつか。なかなかおもしろいものではないか。(一回生男子盟員)

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[追記]

← 10年一昔と言いますが、久しぶりに自分の文章を読んでみて、10年前に何を観たり読んだりしていたのかマザマザと思い出すことができます。ずいぶんとイヤなヤツですね(^^;(1997.12レス)

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上記の文章は全て韓国学生同盟京都府本部時代に機関誌「ムグンファ」で投稿したもの。かなり恥ずかしく、「一体なにが言いたいのだ?(^^;」という内容になっていたりもする。とは言え、確実に僕に存在した瞬間である筈なので、またネタにしていただければ、、、と思いアップした。(1997.12)

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