2011/11/16

民族学級(14)保護者マダン報告、アピール #minzokugakkyu

ハギモイムより→


친구 한마음


大阪市の民族学級保護者らの集いです。保護者が30数名、学校職員や民族講師などあわせて80名程の集いとなりました。

映像にて4.24阪神教育闘争などの史実から現在「民族講師が17名→15名+時間講師」となった最近の動向までを概略的に紹介。映像資料は民族講師が中心になって目をこすりながら作成してくれはりました。映像と合わせて先輩保護者、現役保護者など、それぞれの立場からのお話。後半は地域グループに別れ、保護者同士の自己紹介→各民族学級や地域ブロックでの取り組みなどを共有しつつフリートークの交流会へ。

僕は午前中の準備から息子2人を連れて行きましたよ。途中で「飽きた飽きた」言われつつ飲み会の最後まで付きあわせてしまったね。ご苦労さんやったね。ありがとう。持参した本も読み終え、子どもコーナーにて塗絵や折紙でひと通り遊んだ後はウロウロ~ 皆さんのお世話になりました;

マダンのシメでもないのですが^^; 企画最後に僕の方から市交渉に向けアピールさせてもらいました。細部違ってるかもしれませんが、以下のようなアピールをしました。

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アピール
はじめまして。長男を○○小学校の民族学級に通わせているムンチョンヒョン40歳です。僕は代表でも何でもないんですが、なぜかお鉢が回ってきたので、大阪市との交渉に向けてアピールさせてもらいます! 子どもは上から小学2年生7歳、保育園に3歳・ゼロ歳の3人おります。妻が今日仕事で忙しく、ゼロ歳は保育園に預けてきました。兄ちゃん達は会場でほたえてましたね;ミアナンミダ。下がゼロ歳なので、民族学級が存続しているならば(?)あと十数年は皆さんと保護者活動で顔を合わすことができるのではないかと思っております。

僕の母は日本人で父は在日韓国人2世。というわけで息子の僕自身はハーフ・ダブル。僕の妻は日本人で、僕の息子・娘はクォーターになります。「クォーター」なんて使う普段場面無いんですけどね。先ほどの交流会でも「夫は在日なんですが私は日本人でして」など様々な出自が語られたかと思います。ほんとうに様々でしたね。そういう状況なんですよね。

で、ここで立って喋っている僕の長男が2年生ということは、去年初めて民族学級に出会って2年目の新人ビギナー保護者なんですよ。初心者です^^; アブジ(父)も僕も息子も、三代に渡って大阪市立の同じ小学校卒業生なんですが、僕の時代には民族学級はありませんでした。学年で数名在日韓国朝鮮人がおるか居らんかという地域です。なので、今日会場に来てはる殆どの保護者のほうが僕より民族学級の先輩保護者な訳で、本当ビギナーでおこがましいてゴメンなさい。民族学級保護者会の無い学校で、民族学級初体験でしたが、去年は対市交渉に参加し、その後、教育委員会との話し合いを何度か重ねてきました。何十年の間、大阪市はよくやってきたくれたと思います。しかしこれまでの大阪市の”立派な”民族教育・国際理解教育活動を糧にもっと頑張ってもらわないと。

大阪市は「本当にお金がない。シーリングでギリギリの財政の中で、息も切り詰めてやってる」と言うてはります。教育も福祉もあらゆる場面でコストカットです。教育や福祉、要るもんは要る筈なのですが、財政危機で今以上に頑張るのは難しい言うてはります。今は耐える時期やと。でも、保護者が黙ってじーっと耐えとったら、確実にすーっと民族学級もなんも「そんな要望は市民からあがってない」言うて無くなってしまうやろなという危機感を持っています。

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実は、今日の話にも出てきましたが大阪市教育委員会は2001年に「在日外国人教育基本方針」という画期的なええ方針を発表しています。これは、当時の民族学級・民族教育のことを必死で考えて実践してきた職員らの声も合わさって作成されたもんやと聞いてます。

「...本市教育委員会では1970年以来、学校教育指針に「在日外国人(主として在日する韓国・朝鮮人)の幼児・児童・生徒の教育」を示すとともに、「(1999年)人権教育基本方針」を策定し、日本人と在日外国人の幼児・児童・生徒が共に、共に生きるため、互いの人権を尊重し、ちがいを豊かさとして認め合う子どもを育てる教育実践に取り組んできた。...

◆基本姿勢/在日外国人教育基本方針
1*在日外国人教育は、人類普遍の原理である人権尊重の精神に基づき、民族的一文化的背景の異なるすべての人々に対する民族的偏見や差別をなくす教育である

2*在日外国人教育は、それぞれの国や民族の文化・歴史などを正しく認識し、相互の立場を理解し、共に生きようとする態度をはぐくむ教育である

3*在日外国人教育は、自らの国や民族・文化に対する自覚と誇りをはぐくむ教育である

4*在日外国人教育は、将来に展望をもてる学力を保障し、主体的に進路を選択できる力をはぐくむ教育である

5*在日外国人教育の取り組みは全市的課題であり、すべての校園で計画的・系統的に推進する...、」
などなど

このえらいエエ内容の方針発表が10年ちょい前。素晴らしい内容です。大阪の財産です。大阪人として誇れる内容やと思います。10数年前に蒔かれた「種」は確実に地域の芽を育んでいます。その後、着々と民族学級は”充実”して学級数が増え、2007年には国際理解教育推進事業として民族講師が”正式に”設置され、現在は2名減らされて15名の民族講師+α時間講師という枠組みになった次第です。しかし考えて頂きたいのですが、100校近くの学校を15人+αの講師では人手が足りずいっぱいいっぱいです。大阪市には300校以上の小学校があり中学校合わせて400校以上あります。該当する生徒の有無は別にして大阪市内で1/4になんとか設置されてる状況です。これまでと同じ方法ではこれ以上は増えようがないですね。圧倒的に人手が足りない。そういう一つのピーク、過渡期の状況なんです。

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さてここで、「もう民族学級とかそんなんよろしいねん。そんなん興味あったら民族学校に行かしてる。民族学級で教えてもろわんでも、だいたい判ってるし大丈夫。」という声も聞こえてきます。

ほんまにそうなんやろか。

「日本人と在日外国人が、共に生きるため、ちがいを豊かさとして認め合う」って出来てますやろか。認め合うなんて「学校」以外で学べるんでしょうか。また、教室で「韓国朝鮮の好きな偉人・地名を10コ書いてみよう」言うてどれぐらい書けるでしょうか。アジアで、世界ででもいいでしょう。自分たち、または相手のルーツを知るいうのは、そういう部分からはじめられるものだと思います。家や家庭でできることは家でやったらええ、でも学校でしか学べないことがありますよね。「学校の勉強なんかいらんねん」ではなくて、「大阪は国際理解教育に力いれてます」言うて、そういう当たり前の勉強が学校で、当然できてないとマズイでしょ?って思うんです。

うちみたいにクォーターに民族教育が必要かどうか、と言うか、「国際交流進めます。共生社会作ります」言うてて、そんな当たり前のこと出来てやんとおかしいんやないかと。民族教育、人間教育いう話ですよね。

日本籍を取得している外国にルーツを持つ子どもたちや、うちみたいな二重国籍状態の子どもたちが大勢いる状況なんです。日本で一番先駆的に国際理解教育に実績のある大阪が、その道を示さずに誰が示せるというのか。

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で、財政危機のため教育にかけるお金は無い。これ以上はないという状況で、
「民族教育よりもカジノを!」 そんなことを言わはる大阪市長が出てきたらどうしましょ? そこまで開けっぴろげな人が市長である筈はなくとも、今後そういう市長候補は出てくるでしょうし、きっと「市民に支持されているんだ」と豪語することでしょう。「これまでどういう経緯があったか知らんが、別に日本の公立学校で民族教育は必要ない。もっと財政に余裕がでてきたらその時に考える。それが民意や。民族教育など望まれて無いんです!」 そんなん言われたらどうしましょう? 言われたときに考えましょう? 市民、保護者の熱意や声がないと社会は動かないです。声があっても世の中はなかなか変わりませんが、声がなければ確実に何もかも無くなります。それでええんかと。

いや、カジノの話はええんです。今現在民族学級に通っている「言うても、こんなん学校いってる間だけのことやろ?」と思ってる子どもらが「あぁ、大人も頑張ってるな。そないに大事なもんなんやなぁ。そんな大人も全然ありやな」と思えるかどうかは、先生方の姿もそうですが、その前に保護者、親の姿であり、地域の大人の姿を子どもが目にして、やっと感じられることなんです。

もし僕らが保護者であるこの時代に「市民、保護者の声はないので不要だ」と不景気や声が無いことを理由に「民族学級」が衰退、無くなってしまったら、諸先輩方の顔が思い浮かばれる中、僕は大阪の町をよう歩けません; 何十年もかけて培ってきた「違いをみとめ、共に生きようとする」教育のバトンを、僕ら保護者も、大阪市役所職員も、これから10年先、20年先の保護者や子どもたち、未来の大阪へ渡さなあきません。そのバトンを渡す役目は、ここにいる僕らにあるんです。他の誰でもない僕らの役割です。

これまでの市の歴史・実績に自信と誇りをもって、10年20年後に「やっぱりさすが大阪やな」と言われる状況を残しましょう、造りましょう。そのためには、現役の保護者のつながりが必要です。声が必要です。保護者のともだち、保護者の仲間となりましょう。

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今日、この会場の前方の青い旗が見えますでしょうか。

모두 모여 힘차게

친구 한마음

모두(モドゥ) 모여(モヨ) 힘차게(ヒムチャゲ)
みんなが集って、力強く、

친구(チング) 한마음(ハンマウム)
友、仲間よ、心ひとつに(!)

「友よ!心ひとつに!」でっせ! 今日、この日のために用意した旗、、、では無いんですが(笑い まさにこれやと思いませんか! これは僕らの言葉ですよ。

何かの時には投げうってひとつに集まりましょう。そのための柔らかなゆるい繋がりをつくりましょう。

以上。大阪市との交渉に向けたアピールでした!

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で、市交渉を迎えた次第です。
交渉の経過、また、マダンで会場の皆さんに配布した資料については、公開できる範囲でお伝えできればなぁと考えています。


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  1. aohyon ムン青ヒョン 一級建築士
    今晩は大阪市の民族学級(クラブ)など国際理解教育に関する教育委員会との交渉に参加。同じく今晩、うちの保育園では保育+学童で新システム反対の交流企画(欠席すまん)。共に地域・大阪・社会への危機感と期待感でいっぱいです。たくさんの声が大勢に届きますように #kosodate
  2. aohyon ムン青ヒョン 一級建築士
    国際理解教育、民族教育の対市交渉終了。参加の皆さんご苦労さんスゴエッスミダ! 教育委員会、プロジェクトチーム(?)の皆さんもご苦労様でした #minzokugakyu


↑大阪市のウェブページに協議議事録がアップされる予定ですが 2011.11.18現在、未だのようです。

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【関連】

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【略年表(大阪市)】

1948*「朝鮮人学校の取扱について」/文部省学校教育長通達
1948*→4.24阪神教育闘争→大阪府知事との「覚書」
1949*「朝鮮人学校閉鎖令」

1972*「学校教育指針」に在日外国人教育項目/大阪市教育委員会

1991*「在日韓国人の法的地位と待遇に関する覚書」/日韓外相会談
1992*「民族クラブ技術指導者招聘事業」/大阪市

1999*「人権教育基本方針」/大阪市教育委員会
2001*「在日外国人教育基本方針 -多文化共生の教育をめざして-」/大阪市教育委員会

2004*「大阪市外国籍住民施策基本指針」/大阪市
2007*「国際理解教育推進事業」/大阪市
2009*「国際理解教育推進事業」において、非常勤嘱託職員17→15名、時間講師が新たに措置



1 コメント:

こんが さんのコメント...

心に響くアピールで、さすがです。
在日外国人教育方針から、予算にはつながらないのが痛いなぁ。民族講師の低い給料やサービス残業。現場は心身共にギリギリだよね。衰退か充実か。保育もそうだけど、大人にかかってる。

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 /青ひょん

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