2016/10/25

多様なルーツを大事にする社会を実現させたい/自己紹介 9


9★だれでもおったらええやん

  • 2009年12月「史上初!京都ウトロデモ」数百人が京都宇治市住宅街でデモ。路上「朝鮮人を撃ち殺せ」
  • 2011年夏 大阪での多数の差別扇動デモの存在を、大阪市に問う。
  • 2013年2月「「死ね」も「殺せ」も もう、やめよう。」41歳・会社員・日韓ハーフ(韓国籍)
  • 2013年2月「日韓国交断絶国民大行進 in 鶴橋」当時中学2年生の参加者が拡声器で「鶴橋に住んでる在日クソチョンコの皆さん!」「もう殺してあげたい!皆さんも可哀想やし、私も憎いし、死んで欲しい!いつまでも調子に乗っとったら、南京大虐殺じゃなくて、鶴橋大虐殺を実行しますよ!」。世界各地でニュースに。
  • 2013年夏2014年夏「仲良くしようぜパレードin大阪」。大阪で人種差別を許さないと声を上げパレード
  • 2014年11月 長男リンゴの「大阪にだれでもおったらええやん」が大阪市人権啓発キャッチコピーで市長賞。
  • 2016年7月「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」全面施行


 2009年12月20日、朝鮮人密集地である京都ウトロ周辺のデモに僕は並走しました。道幅2mの狭い道、コリアンルーツの表札が出てる民家前でコール。何事かと驚いて小さい子どもを抱っこして玄関先に出てきた家族たちに数十人が詰め寄って「朝鮮人でていけ!」とがなりたてる。僕はすぐ後ろでそれを目にしながら何も言えず、一人で彼らの後ろ姿に目を見開くだけ。このデモには先日の東京都知事選に出馬していた桜井誠も参加。彼は東京で11万票を獲得しました。彼も僕と同い歳です。

 2011年、民族学級の内実を深める大阪市との交渉の席で、僕は、差別扇動デモが行われていることを市担当に問いました。担当職員は「認識しているが、学校は学校でしっかり教育をやる。政治は関係ない」と説明。僕は、「民族学級が足りひんかったから、国際理解教育が足りひんかったから、差別扇動デモを許してしまったという認識を持たなアカンのとちゃいますか」と問いました。差別街宣デモに出てる者にこそ、様々なルーツを大事に日本でともに生きるための「国際理解教育」が必要やったと言うて欲しかった。その後何かの度に市の各担当課へ顔を出し、話をしました。2013年頃には大阪市担当課も差別扇動のデモ現場へ出向き実態把握に努めていると話されるようになりました。2013年2月の鶴橋での差別扇動デモでは、それを現場で見聞きしてしまった民族学級の子どももいました。彼彼女は、よく判らないながらも「やはり、在日であるということは隠すべきかな」とソンセンニムにそっと打ち明けたと聞きました。

 その差別扇動デモの前日に僕が「「死ね」も「殺せ」も もう、やめよう。」と鶴橋駅でプラカードを掲げたことで、様々なメッセージも頂きました。「日本人です。ほんま申し訳ない」という便りも何通も頂きました。様々な場面でハーフだダブルだと言われてきた僕にとって、「日本人だからゴメン」と言われることは、じゃぁハーフの僕は「半分だけご免なさい?」、ダブルの僕なら「めっちゃめちゃゴメンなさい!」なのか? 違うよね?と。

 ハーフという呼び名は、日本語で「半分日本人」であることを意味する英語のハーフから来た言葉。否定的にも用いられるため、複数の国籍や文化を持つことからのダブルという言い方が広がりました。しかし、差別扇動デモを前にして、日本社会で共に生きる者同士で日本人もハーフもダブルも関係ないです。皆、当事者じゃないですか。また更に、ダブルという呼称で言うと、一般的に用いられる用法ではありませんが、両親がともにコリアンであったり両親ともに外国にルーツがあったとしても、日本在住であれば、それは日本とそれ以外のルーツに繋がるダブルと言えます。在日外国人は国籍や血縁に関係無くダブルですよね。さらに日本人であろうと何人であろうと誰もが、自分と違う他者と付き合い共感を増やす中でダブルになるんです。全員がダブルだと認識して、全員がダブルになれば、その瞬間にダブルやハーフということからも解放される筈。僕のアブヂは朝鮮人を先頭に旗を振らせる運動は本物ではないと批判しましたが、僕は子どもと生き成長する中で、「かけはしでも何でもやったろやないかい」という気持ちが強まっていきました。

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★目次
0*はじめに
1*ムン 青ヒョン(ムン チョンヒョン)
2*僕のアブヂ(父)と母の出会い
3*アブヂの活動家不信
4*通称名は持たないけれど
5*民族との出会い
6*妻が知った深い溝。日本人と在日コリアン
7*子どものパスポート
8*民族学級の保護者活動にも出会う
9*だれでもおったらええやん
10*チョゴリを着る思い
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